酒類販売小売業免許とれる?とれない?免許要件について解説します。(経営基礎要件)

インターネットでの酒類販売申請

これから酒類販売小売業免許の取得を検討されている方にとって免許要件をクリアしているかどうか気になるところではないでしょうか?ここでは既存法人における免許要件のうち重要なポイントである経営基礎要件について説明していきます。

経営基礎要件とは

免許の申請者が破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない場合のほか、その経営の基礎が薄弱であると認められる場合に該当しないこと。酒税法 10 条 10 号関係の要件(経営基礎要件)

酒税法10条10号関係には以上のように要件が定められています。ここでは経営の基礎が薄弱であると認められる場合について解説していきます。以下

  • 現に国税又は地方税を滞納している場合
  • 申請前1年以内に銀行取引停止処分を受けている場合
  • 最終事業年度における確定した決算に基づく貸借対照表の繰越損失が資本等の額を上回っている場合 財務要件
  • 最終事業年度以前3事業年度の全ての事業年度において資本等の額の 20%を超える額の欠損を生じている場合 業績要件

他にも要件はありますが本記事では重要チェックポイントである財務要件と業績要件のチェック方法を見ていきます。具体的には法人の決算書をもとにチェックしていきます。

財務要件のチェックポイント

チェック① まず直近の決算書の貸借対照表の純資産の部を確認します。繰越利益余剰金の額がプラスであれば財務要件はクリアです。

チェック② 繰越利益余剰金の額がマイナスの場合、貸借対照表の純資産の部の資本金、資本余剰金、利益余剰金の合計繰越利益余剰金のマイナ額を上回っておれば要件クリアです。繰越利益剰余金のマイナスが資本金、資本余剰金、利益余剰金の合計を超えてしまっている場合は残念ながら欠格要件に該当します。

チェック②の例

資本金100万円・資本余剰金50万円・利益余剰金50万円 繰越利益剰余金▲250万円の場合⇒欠格要件に該当。

資本金100万円・資本余剰金50万円・利益余剰金50万円 繰越利益剰余金▲150万円の場合⇒要件クリア。

直近の決算で債務超過になっていると欠格要件に該当するということです。

業績要件のチェックポイント

チェック① まず直近3事業年度の決算書の損益計算書を確認します。3期のうち1期でも当期純利益がでていれば要件クリアです。

チェック② 直近3事業年度すべてで当期純損失がでている場合、その損失額が貸借対照表の純資産の部の資本金、資本余剰金、利益余剰金の合計の数字の20%を超えていなければ要件クリアです。もし超えているのでした前期、前々期も同様に確認し1期でも20%を超えていなければ要件クリアです。直近三期すべてにおいて、損失額が20%を超えているのであれば、欠格要件に該当します。

チェック②の例

資本等の額200万円(資本金100万円+資本余剰金50万円+利益余剰金50万円)の場合において当期純損失が第1期50万円、第2期55万円、第3期30万円でしたら第3期が20%を超えていませんので要件クリアです。

同様に第1期50万円、第2期55万円、第3期45万円でしたら3期ともに損失額が20%を超えているので欠格要件に該当します。

※上記2点の要件をクリアできていない状況において、資本金の増資や決算期の変更等で対処できる場合もありますが審査は厳しくなってくると思われます。次回決算期に改善できれば良いのですが、管轄の酒類指導官、専門の行政書士にご相談されることをお勧めします。

新設法人(決算期を迎えていない場合)は?

結論から申し上げますと、決算期を一度も迎えていない新設法人に対しては決算内容については問われません。酒類販売業免許取得を考えている新設法人の方は決算期を迎える前に免許申請しておくことをお勧めします。尚、決算期が3期に満たず、1期と2期若しくは1期のみの場合はそちらの決算書にて審査が行われます。

まとめ(経営基礎要件)

資本金等の額に対して直近3期のすべてが20%を上回る赤字ですと欠格要件に該当。

最終事業年度の繰越赤字が資本金等の額を上回っている場合は欠格要件に該当。

新設法人の場合(決算期を迎えていない)は決算状況を問われませんので、決算期を迎える前の申請をお勧め。

タイトルとURLをコピーしました